CNS/NP y.m. diary

北海道で慢性疾患専門看護師/プライマリーケア診療看護師をしている看護師が日常のことを記事に

日本のNPはどこで、なにをしている?

3月卒業シーズン、NP試験を終えられた皆様は、来年度の活動の準備に忙しくされていると思います。

 

さて、日本の診療看護師(NP)はどこで、どんな活動をしているのでしょうか?

その実態は・・・実は僕も詳細はよくわかりません。いづれどこかの段階で調査されることが望ましいと思いますが。

 

アメリカでは、分野別ではFamily nurse practitionerが最多で、外来診療、クリニックでの従事が多く、 プライマリーケアを主軸としているNPが多いんですよね。

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Distribution, Top Practice Setting and Clinical Focus Area by Area of NP Certification 3

引用元:

https://storage.aanp.org/www/documents/Npfacts.pdf

 

私が昨年、参加させて頂いた、NP教育課程の修了生の交流会(今年は2019年3月13日に開催)で得た情報と、個人的に交流させて頂いているNPさんからの情報をまとめると

一言でいうと、『働き方のばらつきは大きい』です。

 

日本のNP教育課程は大きく「クリティカル領域」と「プライマリー領域」に分かれて、両コースとも持ち合わせているところと、どちらか一方の課程をひらいている学校があります。ただし、現在のところ全体のコース受講割合は「クリティカル領域」が多く、当然試験受験者、合格者も「クリティカル領域」が多く、おそらく圧倒的に病院にで従事している卒業生が多いでしょう。

 

ただし、卒業した後、アメリカのNPまでとはいかないものの、すべての卒業生がNPとして活動しているわけでもないようです。

 

私の知り合いでも、「業務時間の何割かは普通の看護師として働かなければならない。」「NPとしての活動はほぼしていない」という方もみかけます。あるいは、教員として働いている方も。これ以外にも、手術室で手術助手を専門として働いている方、いわゆるPhysician Assistant:PA として従事している方もいるようです。

 

なので、日本のNP有資格者がすべて純粋にNPとして働いているわけでもないのが実情のようです。

 

では、私の病院のNPはというと、先日のNP学会でも提示したように、Hospitalistタイプ、CNS/NPタイプ、PAタイプに分かれています。もちろん、それだけの仕事しかしていないのではなく、それぞれの仕事はオーバーラップしてます。

 

Hospitalistタイプは病棟管理が中心で、受け持ちを行い、医学的な管理から社会的な調整までおこなっています。

 

「医学的な管理ってどこまでやるの?」

簡単に言えば、NPが行えない医行為以外すべてをしています。(もちろん医師の監督下で)患者の検査の組み立て、点滴、処方の見直し(処方権はないので、処方はできません)、病状説明(NPの権限で行える範囲すべて)、各科へのコンサルト。手術室に入って手術をしたりはしませんが、病棟管理はほぼまかせておけます。※注意:重ねていいますが、医師の監督下で行っており、単独診療は一切行っていません。

 

CNS/NPタイプ

つまり、私の働き方ですが。NP学会ではCNS型NPとして紹介しましたが、その後無事CNSを取得しましたので、CNS/NPとして表記を変えました。今現在は総合診療部に所属し、受け持ちをせず、入院された患者すべてにアプローチします。Hospitalist型と違うのは①受け持ちはしない、②病状管理は医師とともに、③看護チームや他職種のなかでリーダー的マネジメントをしている、でしょうか。

この働き方を選択したのは、医学的管理に重点をおくHospitalistと特色をわけて、日本の現状の医療にマッチしやすいタイプのNPを「試してみたかった」からです。どれだけ、医学的管理が優れていても、チームがそれに追いついていなければ、いい結果をだすことはできません。だから、定期のカンファレンスだけじゃなく、適時に他職種が意見交換、情報交換、ケアの方向性の確認を行い、普段から医師が看護チームの意向、看護師が医師の治療の意向を確認できる橋渡し役になれればと思っていました。そして、医師があまりやりたがらない、subproblemへの介入を重点に活動を行っています。とはいいつつも、処方提案や病状説明などHospitalist型とオーバーラップしている部分も多いです。

 

最後にPAタイプ

PAと表記していますが、手術室だけでなく病棟管理も医師とともに行っています。こちらも、他のNPとオーバーラップしている部分があります。そして、外来診療にも参加しているのが、上の二つのNPと違うところでしょうか。

 

これ以外にも、他の病院ではERに専従していたり、麻酔看護師として働いていたり、老健訪問看護ステーションにいたりと、本当に活動の場は多岐にわたっています。

 

日本の未来を考えると、地域で活躍できるNPが多くなることが望ましいのでしょうが、私としてはまずは病院での研修をして、それから地域で活躍するというスタイルが一番いいかなと考えているので、現状では病院で働くNPさんが多くても仕方ないかなと思います。

 

NPの活躍の場は広がっていていますが、日本におけるその役割がなんなのかを一般化しつつ、アウトカムをだしていくことが求められますね。